「ロードレーサー乗りがサドルを替える理由」

 自転車、特にロードレーサーに乗っている人が最も試行錯誤するパーツは、おそらくサドルではないかと思います。自転車に乗らない人からすると「なぜサドルを何回も替えたりするの? サドルなんてどれでも似たようなものでしょ。」と思うことでしょう。しかし、そうするにはそうするなりの理由というものがあるのです。


【第1段階】
 ロードレーサーに乗り始めたばかりの初心者がサドルを買い変える理由は「尻が痛くなる」からだと言い切っていいと思います。私も最近かなり慣れてきましたが、最初に買ったクロスバイクのサドルは骨盤が割れたかと思うほど尻が痛くなったものです。で、たいていの場合、比較的価格の安い乗り心地のいいサドルに交換するのです。


【第2段階】
 そういう乗り心地のいいサドルに慣れてくると、またサドルを交換したくなってきます。次に買うサドルに求めるものは、性能(主に重量)や見た目であることが多いと思われます。なぜかというと、乗り心地のいいサドルというのは比較的重く、形ももっさりしたものが多いため、なんとなく微妙な感じがしてくるからです。ヒルクライムやレースなどを始めてしまったりしたら、ほぼ間違いなく高価で軽量なサドルに交換したくなってしまいます。そうすると速く走れそうな気分になってしまうからです。まあ、そういうのはたいていの場合気のせいだったりしますが。(笑)


【第3段階】
 第1段階で買うサドルは割と万人向けのものが多いのですが、第2段階で買うサドルはけっこう個性が強いというか人を選ぶところがありますので、買ってみたけど自分には合わなかった、という結果になることが少なくありません。そうなってしまった場合、これまたたいてい次のサドルを購入することになってしまいます。運よく早い段階で相性のいいサドルが見つかればいいのですが、そうならなかった場合は何度も何度も試行錯誤してしまうことになってしまうわけです。
 また、それほど不満が無くても更に高価で更に高性能のものを求めてしまうこともありがちです。サドルに限らず自転車のパーツというのは価格差が大きいもので、上を見ればきりがないくらい数多くの超高級品があります。こういうタイプの人は、基本的に最高級品を買わない限り満足できませんのでなかなか厄介な存在です。
 それ以外にも落車した時にサドルが傷ついてしまったり、長い間乗り続けて革が擦り切れてしまったり、不心得者にカッターで切り裂かれてしまったり盗まれてしまったりした場合にも買い替えなければならなくなります。そんなこんなで、いつの間にやら部屋の隅にサドルがいくつも転がっていたりするのは自転車乗りによくある光景らしいです。まあ、インターネットオークションやフリーマーケットをうまく活用している人も多いようですけどね。